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感じたこと、考えたこと、学んだこと、それと食べたこと。

欲しかったもの。

「・・・おじいちゃんは子どものじぶん、二階で寝ててな、夜中にふと目がさめるとスルスル〜、スルスル〜、っとどこからか音が聞こえてくる。


どうやら物音は外から聞こえる。パッチリ目が覚めてしまって眠れそうにない。おまけに横で寝ているお父さんもお母さんも、グッスリ。ピクリともしない。


仕方ないから おじいちゃんは、そぉっと布団を抜け出して 階段を 1段、2段、、とおりて行って 恐る恐る玄関の戸を開けてみたのさ。



そろっと開けた戸の隙間から外を覗くと、赤い月がな、ぬら〜っとでとるだけで なんもおかしなことはなかった。音も消えとったな。おかしなことがあるもんだな。



首をかしげながら戸締りして、また寝ようと階段を 1段、2段、、と数えるともなしに登ると、なんと、さっきおりるときは13段あった階段が、14段になっとる。そんなはずはないと、もう一回 おりてみた。1段、2段、、13段。登ると、1段、2段、、、14段。



おじいちゃんは もう 怖くて怖くて、布団へ飛んで帰ってお母さんにしがみついてブルブル震えながら 寝たのをよう覚えとる・・・」




私の祖父は 小さな私にそういった話をするのが大好きで、私もそれを聞くのが楽しくてしかたなかった。当時、祖父母の家は二階建てで 荷物がいっぱい置いてある廊下の奥には、これまたその家の前の持ち主が残していった各種雑多なもの(骨董、ともいえるような古いものばっかり) 所狭しと放置されていた。



私はよく妹や近所に住む従兄弟たちとかくれんぼをするのが好きだったのだけど、さすがにそこに隠れるのは勇気がいった。ほら、見つけてもらえない可能性が大きかったから。それに、かくれてる間に スルスル〜っと音がしたら嫌だからね。



さて、祖父母の家と違って、実家は 平屋建てだった。見通しがいい明るい家だった。ただ、ほら、階段がなくて、、、。



そう、私は子供の頃、家に階段が欲しかった。



妹と一緒に使う二段ベッドはあって、上と下を、定期的に入れ替わって寝ていた。そりゃあ、上の番が回ってきたら嬉しかった。階段、というかハシゴを、のぼれるから。ちょっと短すぎるけど。



高校生の時、その平屋建ての実家を建て替えることになった。ちょうど学校があって 解体する時には間に合わなくて、家に帰ると すっかり更地になっていた。



寂しさと、期待と。思い出の家が跡形もなくなったことは、胸がちぎれるようだったけれど、私は知ってた。新しい家は 階段付き!


大工仕事をみるのが 大好きだった私は、骨組みが出来上がった家に階段らしきものを見つけて、登らせてもらった。登った先には、、、何もない、危ない危ない。落ちるところだった。


出来上がった家には、ピカピカの階段が!(少なくとも私にはピカピカに見えた)


嬉しくて、用もないのに のぼったり、降りたり。何段あるかな?って数えたり。(全く増えたり減ったりしなかったけれど)


そこで新しく生活が始まって、すっかり階段が当たり前になって、いつの間にか忘れてしまっていた。私はもっと大きくなり自分の階段を登り始めていた。一段一段、なりたい自分への階段。



書き始めて、書きながら気がついた。私が子どもの頃に欲しかったのは タダの階段じゃなかったんだ!



もっとミステリーな階段だったんだ。ホグワーツのみたいに、どこにつながるかわからない、ドキドキするやつ。おじいちゃんの怪談に出てきた、アレ。そして、登った先に ゴチャゴチャっと不思議なものがある、アレ。



どこで手に入るか だれか知りませんか?
















今週のお題特別編「子供の頃に欲しかったもの」
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